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2006年6月 5日 (月)

禍福は糾える縄の如し

 再放送されていた、「柳橋慕情」が終わった。高校を卒業して、初めてバイトした先の中華料理店のご主人が、山本周五郎さんのファンで、2・3冊文庫をくれ、読んだのが山本周五郎作品との最初の出会い。主人公だろうが、善人だろうが、容赦なく襲ってくる凶事に慄きながら読んだことを思い出しつつ、見ました。

 

 このドラマでも、やはり、若村麻由美さん演じるおせんちゃんを始めとして、ほとんどの登場人物が何かしらの災いを経験し、その多くは、不慮の死を遂げます。ダンナには、何でそんな哀しいばかりの話を見るの?と言われましたが、何でだろう、生き残った人々が、互いに手を貸し合い、雑草のように生き抜いていくところに、共感を覚えたからでしょうか。

 

 藤村志保さん演じるお鶴姐さんや、滝田栄さん演じる浪人・松村信兵衛など、脇を固める江戸っ子気質の人々も、秀逸だけど、特に良かったのは、井川比佐志さん演じる田舎者の松造。火事の後、記憶を無くし、拾い子を抱いて彷徨っていたおせんちゃんを親身になって世話してくれた、斉藤洋介さん演じる勘十と原日出子さん演じるお常夫婦は、洪水で行方知れずとなる。松造は、お常の兄で、妹の死を知ると、その妹が生前親切にしていたおせんちゃんに、同じように親切にしてやることが、亡くなった妹夫婦への供養になると信じ、田舎から野菜などを持って、定期的に訪ねて来てくれるようになる。その頃おせんちゃんは、田中実さん演じる結婚を約束した庄吉から、不貞の疑いをかけられた上、村八分にされていたが、松造は、おせんちゃんに対する悪い噂を聞いても、人々が忠告しても、親切を止めない。結局、松造の全面的なバックアップを受けて、おせんちゃんは、誹謗中傷を乗り越え、野菜を商う小さな店を持ち、しっかりと地に足を付けて生きていけるようになる。

 

 今日、犯罪容疑者の元夫という人のインタビューを読んだんだけど、その人は、元妻のことを特に悪く言っておらず、容疑者を過剰に悪く、被害者の方を過剰に良く表現しがちな風潮の中、「普通の女性」と評していて、妙に感心してしまった。

  

 「柳橋慕情」の松造も、世間の風評に惑わされること無く、自分の経験や価値観で相手に対峙していて、とても良かった。

 

 人が悪いと言ったから、悪と判断するという思考は、とても危険と思う。マスコミがちっとも公正でないから、ともすれば、危うく真実を見失いかけてしまう時があるけれど、気を付けたい。

 

 哀しい挿話が多かったこのドラマ、おせんちゃんが、誰が本当に自分を愛してくれていたのかということに気が付き、その愛を胸に強く生きていくという終わり方にも好感が持てました。S.E.N.S.の音楽も、情感たっぶりで素晴らしかったです。最後まで、くじけずに見てよかったなぁ~。

 

*オススメサイトへのリンクです*

「柳橋慕情」 公式サイト

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